Naomi says,

山奥に引きこもって毎日お肉を食べながらボードゲームと読書をして生きていきたい。

Google のユーザーサポートは助け合うことが大事である

Google のコミュニティマネージャーとして働いていると、様々なユーザーサポート案に関わることができる。「Google へお問い合わせがしたいです、電話番号はどこですか」というようなフォーラム投稿が相次ぐので、せっかくの機会だし、Google のカスタマーサポートについて少し書いてみようと思う。

 

正式な問い合わせ先が必ずあるわけではない

まずはじめに上記の質問の答えだが、「Google への問い合わせ先はいくつかの製品にしかない」である。基本的には無料のプロダクト、たとえば個人用の GmailGoogle ChromeGoogle Map などは、一部例外を除いて問い合わせフォームや電話番号は存在しない。なぜなら、プロダクトを日々使っていただいているユーザー数を考えると、問い合わせをさばききれないからである。逆に、有料プロダクト、たとえば gSuite や AdWords などは問い合わせ窓口が存在する。そのカスタマーサービス込みの有料版である。

では無料プロダクトを使っているユーザーが困った時は、どこに行けばいいのか?それを理解するためには、まずはスケーラビリティについて考える必要がある。ありがたいことにユーザー数はとても多いのだが、ひとりひとりに対応できるほどのリソースもコストもない。さらに、仮に全プロダクト・全ユーザー用にコールセンターが存在したとしても、「オペレーターに繋がらない」「電話してる暇がない・今かけることができない」などのシチュエーションになった場合は、やはりさっと確認して問題解決できる何かが欲しくなる。なので、ユーザー同士で助け合える環境を作る、困った時にヘルプセンターなどを見ることによって自己解決ができる、そしてそもそも困ることのないようにわかりやすいプロダクトを作る、という3つの点が重要になってくる。本記事ではこの1つ目の点「ユーザー同士で助け合える環境を作る」ということについて書いていく。

 

コミュニティマネージャーはユーザー視点でものを考える

書き始める前に、そもそもコミュニティマネージャー(以下 CM)とは、ということについて触れておこう。CM はざっくりと言えば、「ユーザーに一番近い中の人」だとわたしは思っている。やっていることは:

  • エキスパートの育成(エキスパートについては後述。今は「Google 製品に詳しいユーザー」と考えてほしい)→ 製品についての資料の作成、Hangout On Air、オフィスアワーなど
  • GoogleTop Contributor Program およびに担当プロダクトのエヴァンゲリスト → ユーザー向けイベントの企画や登壇、製品のアップデートや便利機能の情報発信など
  • ユーザーの立場から考える → フィードバックを集める、イベントなどで直に聞く、新製品のユーザー向け β テストを企画する、などの方法を通して、開発エンジニアや PM に「何がユーザーにとって便利か」「何が不便か」「今後どういう機能の開発が好ましいのか」「日本にローンチするにあたって気をつける点は何か」を、ユーザー視点から伝える

以上が CM のだいたいの仕事内容・方針である。

 

「ユーザー同士で助け合える環境を作る:フォーラム編」

個人的に一番大切だと思っているのがこの「ユーザー同士で助け合える環境」という点である。できればひとりひとりに丁寧に教えていきたいが、それは不可能なので、わたしはフォーラムの管理に力を入れている。
Google ヘルプ フォーラムというのは Google が公式に運営している Q&A 掲示板のようなものであり、ユーザーが質問を投稿し、ユーザーが返信をつける、といったものである。このフォーラム、じつは担当社員(CM)がモニタリングしているので、無法地帯になることはほとんどない。ただし、よく勘違いされるのだが、必ずしも社員からレスがつくわけではない。フォーラムにもそれなりの量の投稿がくるので、それに毎回返信をしていたら「ユーザー同士」という運営方針が崩れてしまうからだ。フォーラムにおいての CM の役割を一部書き出してみる。

  • エキスパート(訳:Google 製品に詳しいユーザー)へのトレーニング(研修)を行う
  • 投稿された問題がちゃんと解決できるよう、なるべくレスがつくようにする
  • バグや製品の不具合だと判断した場合は、フィックス進捗などをユーザーに伝える
  • ユーザー情報が必要だと判断した場合は、フォーラム上の非公開メッセージ機能を用いて直接ユーザーに連絡をする(Gmail アドレスが知りたい場合など)

といったように、社員もけっこうちゃんとフォーラムは見ていて、健全な環境を作る、そして「投稿したのにレスがつかなくて結局解決できなかった…」というユーザーがひとりでも減るよう、あれこれと策を考えるのである。ついでに、フォーラムに投稿される質問の傾向を分析したりして、この言語圏での一番の問題は何なのか、ユーザーにとってわかりづらい点はどこなのか、などを考えたりもする。

 

「ユーザー同士で助け合える環境を作る:Twitter 編」

じつは Twitter でもいろいろと取り組みを行っている。日本では現在 Gmail/Inbox と Google Chrome まわりの質問にしか対応していないが、海外にはもっとたくさんのプロダクトをみている。Twitter サポートの仕組みも上記のフォーラムと似ていて、ユーザーが Twitter につぶやいたことに、他のユーザーがリプをつけて助ける、といった流れだ。

回答する側は、Help on Social というツールを利用するといい。これに登録すれば、製品に関する質問だけがフィルタリングされるので、Twitter 全体を見るよりも楽に回答をつけることができる。また、回答をすれば☆ポイントが付くので、回答者同士でスコアボードを競い合うようなゲーム要素も含まれている。さらに、Help on Social はモバイルフレンドリーなので、出先で暇な時にちょっと回答してみる、という使い方もできる。みなさんも暇だったら覗いてみて、そして困っているユーザーに救いの手を差し伸べてみてください。

質問する側は、#gHelp というハッシュタグを付けてつぶやくとより回答がつきやすくなる。Help on Social ツールでは #gHelp のフィルターも設定してあるので、ツール上のタイムラインに優先的に表示される。また、ただ単に「あ〜 Chrome 重い」とつぶやくより、「あ〜 Chrome 重い #gHelp」とつぶやいたほうが、「何かアドバイスをくれ」というメッセージが含まれるので、回答側もリプをつけやすい。困ったらぜひ活用してほしい。

 

エキスパートになるといろんな特典がつく!

何度か「エキスパート」という単語がでてきたが、エキスパートとは Google Top Contributor プログラムの参加者である。フォーラムや Twitter で回答をするのは主にこのエキスパートのみなさんで、よく間違えられるのだが、この人たちはいちユーザーであり決して Google 社員ではない。フォーラムなどを見ればわかるのだが、エキスパートのアイコンに付いている専用バッジと、Google 社員が付けているバッジは別物なので、見分けることができる。ほんと、エキスパートのみなさんにはいつも助かっているし、わたしはエキスパートのみなさんとお話するのが大好きだ。金銭的なインセンティブは一切ないが、日々ユーザーへの回答をつけてくれるお礼として、いくつかの特典がつく。

  • CM と直接コミュニケーションがとれる(担当製品に関する質問などが気軽にできる)
  • 公開前情報などが閲覧できる(要 NDA
  • 公開前プロダクトや新機能の β テスターに応募することができる(要 NDA
  • 限定イベントに参加できる(PM や開発エンジニアに会えちゃったりもする)
  • イベントは基本的に無料!Google 本社(米・カリフォルニア州)でのイベント時でも、フライト代や宿泊代がちゃんと出る。
  • Google オフィスにふらっと寄れる。東京オフィスだと、基本的にはわたしにアポをとれば遊びに来れる。運が良ければ Google の社食ランチも食べれる。

といったように、エキスパートになれば様々な特典がつく。これらの特典は、「今後ユーザーを助けるために役に立つ情報の提供」や「製品に関する的確なフィードバックの期待」に基づくものである。たとえば、一般には公開していない機密情報や製品の仕組みをエキスパートに伝えることによって、その知識を今後の回答に役立ててほしい、ということだ。

 

もっと気軽に参加してほしい

質問を投稿するにせよ、回答するにせよ、ユーザーのみなさんにはもっと気軽に参加してほしいと思う。とくに回答側はなんだかハードルが高いように見えるが、全然そんなことはない。今エキスパートになっている方たちのほとんどは狙ってなったわけではなく、「なんとなく回答をしていたら Google の中の人にスカウトされた」みたいな感じだ(もちろん、エキスパートになりたくて回答を続けてきた人もいる)。また、「製品に詳しい IT 系の人しかエキスパートにはなれない」というのは大きな誤解であり、このプログラムには高校生の方、専業主婦の方、ミュージシャンをやっている方など、IT とはまったく関係のないユーザーが趣味で続けているケースが多い。なので、みなさんもなんだか暇だなぁと思ったら、フォーラムTwitter (Help on Social) を開いてぜひ回答をしてみてください!何気なく続けていたら、わたしから「ヘイユー、エキスパートにならないかい?」とお誘いがくるかもしれない。

質問をしたい時も、気軽にフォーラムや Twitter (#gHelp ハッシュタグを用いて)に投稿をすれば、回答がつくかもしれない。また、Google のヘルプセンターに書いてあることも多いので、困った時はヘルプセンターにアクセスして検索してみるのも良いかもしれない。というのも、本記事の最初のほうに書いた「困った時にヘルプセンターなどを見ることによって自己解決ができる」というのも Google ががんばっている点のひとつで、ヘルプセンターを担当している社員が常にチェックして改善していっているので、ぜひ活用してほしい。

 

最後に、Google Top Contributor プログラムに関すること、フォーラムや Twitter サポートに関すること、製品のことなど、気になることがあれば気軽にフォーラムやわたしの Twitter 宛にどうぞ!また、定期的にイベントに参加したり、時には話したりしているので、見つけたら声をかけてくださいね。

それでは、快適な Google ライフを!